
利他とは、自分のことよりも他人の幸福や利益を願うこと、他人に利益となるように図ることをいいます。
利他的行動をとる時、人は何を考えているのでしょうか。
自分に(利益が)返ってくるという思いもあるでしょうが、それは利他ではなく利己になるでしょう。
本書では、「文七元結(ぶんしちもっとい)」という落語を取り上げています。
博打好きの左官の長兵衛を見かねた娘が吉原に身を売る決意をします。
しかし、吉原の女将が事情を察し、一年後に返さなければ娘を店に出すという条件で長兵衛に50両を貸します。
長兵衛は、その帰り道、身投げをしようとしている男(文七)に出会い、その男を助けるために娘の未来がかかった50両を渡してしまう。
そんなお話です。
そんな大事なお金を、なぜ長兵衛は男に渡したのでしょうか。
色々な思いが錯綜した結果の行動で、明確な理由は分からないのだと思います。
利他的行動をしようとした時(頭で考えた時)、その瞬間に、他方で利己的な考えも生まれ、その利他的行動をは純粋な「利他」ではなくなるのかもしれません。
「人間には利他を行なうことなどできない。」「利他は人間の意図的行動ではない。」「人間の中を神が通過するときに現れるものである。」という考えもあるそうで、私はこれらが腑に落ちました。
本書では、私達が偶然を呼び込む器になることの重要性を説いています。
その器にやってくるものが「利他」で、それが誰かの手に渡ったとき、実際に発動する。
そんな考えを知っておくだけでも面白いですね。
頭で考えることももちろん大事です。
ただ、自力の限界を受け入れ、委ねてみるということも試してみてはいかがでしょうか。
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